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糖尿病
糖尿病とは
糖尿病というと、漠然と太った人や中高年がかかる病気と考えるかたもいらっしゃるかもしれませんが、中高年だけでなく、子どもや20代の若い人でもなる可能性のある病気です。
糖尿病は、血液中の糖分(血糖値)が増えすぎてしまう病気です。人間の体は食べ物を消化・吸収し、エネルギーのもととなるブドウ糖を作ります。ブドウ糖は血液によって全身に運ばれ、細胞のなかでエネルギーに変わります。このとき、すい臓から分泌されるインシュリンがブドウ糖をエネルギーにしたり、脂肪に変えて体内に蓄えさせるなど、体内の血糖値を調整しています。糖尿病になるとインシュリンが減ったり、正常に働かなくなり、さまざまな症状を引き起こします。
糖尿病の原因
糖尿病の原因は、大きく3つに分けられると考えられています。また、複数の原因が複雑にからんで発症することもあります。
(1)生活習慣
食生活の乱れなどの生活習慣が要因として挙げられます。日頃の食事で、糖分の多い清涼飲料水をたくさん飲んだり、脂分の多いメニューばかり食べがちなど、必要分以上に糖分を摂取してしまうことが一因と考えられています。また、運動不足も発症につながると考えられています。
(2)遺伝
家族や親戚に糖尿病になった人がいた場合、糖尿病になる確率が高くなると言われています。そのほか、病気、感染症や免疫の異常などで発症する場合もあります。
(3)加齢
年齢が高くなるにつれて、糖尿病の発症率も高くなることから、加齢も原因のひとつだと考えられています。
糖尿病の症状
糖尿病はさまざまな症状を引き起こします。また、病気の進行度合いによっても、症状が異なります。
(1)初期
糖尿病は初期の段階では、自覚症状がほとんどありません。そのため、気づかずに病気が進行してしまう患者さまも少なくありません。
(2)中期
のどが渇く、疲労感やだるさを感じる、トイレに行く回数が増えた、尿の量が多いといった自覚症状が出てきます。
(3)末期
目や神経、腎臓などに影響が出はじめ、さまざまな合併症が起こります。網膜症になったり、人工透析が必要になることもあります。また、手足のしびれや麻痺だけでなく、壊疽が起こることもあります。この段階になると、対症療法で症状をコントロールしていくことになります。
糖尿病の種類
糖尿病は4つの種類があります。それぞれ発症する原因が異なるのが特徴です。
(1)1型糖尿病
すい臓でインシュリンを作るβ細胞が壊れてしまったためにインシュリンが作られず、体内の血糖値を調整できないことが原因で起こる糖尿病です。体内でインシュリンが作られないため、常に注射でインシュリンを補う治療が必要になります。
(2)2型糖尿病
インシュリンの量が不十分だったり、効きにくくなることで起こる糖尿病です。自覚症状が出ないこともあり、気づかないうちに病状が進行してしまう場合があります。
(3)遺伝や病気などによるもの
遺伝やそのほかの疾患、感染症などが原因で起こる糖尿病です。
(4)妊娠糖尿病
妊娠中はホルモンの影響でインシュリンの働きが落ちたり、赤ちゃんに栄養を送るために血糖値が上がりやすくなります。このように、妊娠中に初めてわかった高血糖の状態を「妊娠糖尿病」といいます。多くの場合、出産後に血糖値は戻ります。
糖尿病の治療法(食事療法、運動療法、薬物療法)
糖尿病の治療では、血糖値をコントロールすることが必要になります。そのため、食事療法と運動療法を行います。また、糖尿病の原因や症状の進行度合いによっては薬物治療も行います。
(1)食事療法
糖尿病での血糖値コントロールは、食事と運動が基本です。まずこれまでの食生活を見直し、朝・昼・晩と規則正しく、患者さま自身の体質などもふまえて栄養バランスのよい食事をとることから始めます。主治医や専門の管理栄養士と相談しながら行っていきます。
(2)運動療法
体の基礎代謝を上げて血糖値を下げるために、ウォーキングやランニング、水泳などの有酸素運動をメインに行います。また筋肉を鍛えることによって、インシュリンが体内で作用しやすくなるため、筋力トレーニングも並行して行う場合もあります。しかし、急に体に負担をかけると思わぬ怪我や不調につながります。医師と相談しながら、最初は軽い運動から始めていきます。
(3)薬物療法
糖尿病の原因や、空腹時と食後のどちらの血糖値が高いのかなど、患者さまによって使う薬が異なります。インシュリンの分泌や効きをよくするもの、糖の分解・吸収を遅らせるもの、体内の糖の排出を促すものなど、病状に合わせて使い分けます。医師に相談せずに、飲むのをやめたり、量を増減するのはやめましょう。
インシュリンがほとんど分泌されない、または不足してしまう1型糖尿病の患者さまの場合、インシュリン注射を行います。